木組みと土壁の家づくりは、地震の大きなエネルギーをどうやって分散させるかという考えに基づいています。
筋交いや合板は「剛性」が強すぎる為、柱と梁の接合部分である仕口(しぐち)を金物で補強する必要があります。伝統工法を駆使していない家は、あくまで、地震などの大きなエネルギーに“抵抗”するように作られています。
そうすると、どこかが壊れるとジェンガの様に崩れてしまうのです。
その点、“柔構造”である土壁は、地震の大きなエネルギーを土壁内で受け流し吸収します。家自体は揺れますし、土壁は崩れますが、最悪の事態は免れます。
これは、土壁が本来持つ、『免震』と『制震』の性能のおかげです。
四季のある日本では、梅雨の時期があったり夏の暑い時期があったり冬の乾燥した時期があったりと、一年を通して変化が大きい「湿度」。
なるべく室内の湿度は気持ちのよい状態を保ちたいものですよね。土壁は外気の湿度に影響されにくく、室内の湿度の変動を最小限にすることが出来る優れものです。じめじめした時期には湿気を吸い込み、乾燥する時期には湿気を吐き出すことで、快適な室内空間を叶えてくれます。
主に土とワラとを混ぜ込んでつくる材料ですので、化学的な材料は一切使用しておらず、シックハウスなどの心配もありません。
アレルギー体質の方が増える原因の一つとして”化学建材を使用した家”が挙げられます。
身体に良くない化学的な材料を使用することでその分家に対するコストは低くなりますが、それによってご家族の身体にアレルギー症状が出てしまっては家づくりの意味がありません。
アレルギーをお持ちの方はもちろん、これから生まれてくるお子様の為にも、自然素材である土壁を使用した家づくりをおすすめいたします。
冬の寒い時期は暖房をつけますよね。その時に一度暖まった空気を蓄える性質が土壁にはあるのです。一旦暖まると土壁に囲まれた部屋の温度は下がりにくくなり、暖房を切った後でもある程度快適な状態が続きます。土壁の中にある小さな隙間が水分を含むことで、室内の空気を外に逃がしにくくし、冬場の寒い時期でも暮らしやすい環境を整えてくれます。
土壁は元々水分を含んでいる為、初期の火災であれば耐えることが出来ます。
熱さで土壁の中の水分が蒸発し、壁の表面の温度が上がるのを防ぎます。壁の中の水分が抜けた後、その空間が空気層となり熱を遮断。よく昔の人が蔵の中に大切なものをしまっていましたが、蔵の内部は土壁になっており、例え大火事になっても内部の温度はそれほど上がらず無事だったことも多かったようです。